「蜜蜂と遠雷」恩田陸

直木賞・本屋大賞のW受賞作。2019年に映画実写化。国際ピアノコンクールを舞台に、若きピアニスト達の葛藤や成長を描いた青春群像小説。
とても評判がよかったので、手に取ってはみたものの、、読む前は本の分厚さに圧倒され、私に読みきれるのか?とかなり不安になりました(笑)
しかし、読み始めるとあっという間に本書の世界観に引き込まれます。
情景描写は臨場感に溢れていて、読んでいるこちらの想像を掻き立ててくれます。気付いたら時間を忘れ、夢中で読み進めている私がいました。本を読み始めると、自然とあくびが出てしまう私がです(笑)
本書は映画化もされているので、キャストを調べてから読みました。それもあってかイメージがどんどん膨らみ、頭の中に映像が浮かんでくるようでした。私は映画やドラマを観るのが好きなので、映像化したくなる本書は読みやすかったのかもしれません。
本書は、男女4人の天才ピアニスト達を中心に物語が展開していきます。
4人それぞれに魅力がありますが、私が一番惹かれたのキャラクターは風間塵でした。風間塵は鈴鹿央士さんが演じられており、本作にて映画デビューを果たしています。最近では、『ドラゴン桜 シーズン2』での好演で大注目されていますよね♪藤井遼役を演じる鈴鹿央士さんの演技力は素晴らしかったです!
風間塵は、天真爛漫な養蜂家の息子です。自宅にピアノがないという稀有な環境にあるにも関わらず、天才ピアニストにその才能を見出されます。独特のオーラを持っていて、後にコンクールで出会う栄伝亜夜(松岡茉優さんが演じています)に多大な影響を与えていきます。
亜夜と塵の月夜の連弾シーンや、舞台上でピアノの弾いている風間塵と観客席にいる亜夜が演奏を通して、会話のキャッチボールをしていくシーンは必見です。
本書より。
『風間塵は微笑んでいた。亜夜に見せつけるかのように、一人孤高の大地を駆け抜けている。』
『風間塵。あたし、あなたが誰なのか分かったような気がする。亜夜は、色彩のうねりと光のシャワーに身を委ねた。』
本書で一番印象に残っているのは、豊かな音楽の表現です✨恩田陸先生から生まれた言葉は、音・メロディがこちらに響いてくるようで、読んでいてとても心地よかったです。
特に第三次予選は心高鳴りました!
本書より。
『彼女の指から生まれる一音一音のすべてが深く、意味があった。曲のすみずみまで彼女自身が息づいているのに、同時に彼女は匿名の存在であり、その音楽に普遍性がある。』
『最初の一音から、そこに真実が漲っていることを誰もが確信したのだ。この演奏家に、安心しておのれの人生を委ねられるという安堵と期待が客席に満ちる。ああ、我々は自分をこの音楽に託してよいのだ。』
心揺さぶられる美しく力強い表現にうっとりしてしまいます✨
また、コンクール出場者達の苦悩や葛藤、情熱が音楽を通して伝わってくるのも本書の魅力です。
個人的には、第三次予選後の栄伝亜夜と高島明石が初めて会話を交わすシーンは、とても胸が熱くなりました。
読み進めていく内に、全ての出場者を応援したくなり、ラストはどのようになるのだろう、誰が優勝するのだろうとドキドキワクワクしながら読み切りました!!
後半は結果が気になって早く読み進めたいような、最後まで読み切るのがもったいないような、、不思議な感覚にさせてくれます😳
最初はどうなることかと思いましたが、この本に出会い、すっかり恩田陸先生のファンになりました✨勇気を出して読んでみてよかったです!
まだ映画は観れていないので、どのように映像化されたのか是非チェックしてみたいと思います!