今回は骨盤底筋に着目したピラティスのエクササイズをご紹介します。
骨盤底筋はインナーユニット筋の中の一つで、尿もれ解消や骨盤の歪みを改善し、お腹やお尻を引き締める効果が期待できます!
目次
ピラティスでインナーユニット筋を鍛えよう!
インナーユニット筋とは、横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群4つの腹部の深層筋です。
この4つの深層筋(インナーマッスル)が楕円状に腹部の深層部分を覆っていて、コアの安定に関わっています。これらはパワーハウスとも言われおり、横隔膜が屋根、骨盤底筋が地盤、多裂筋が柱、腹横筋が壁と言い表されることがあります。
ですから、インナーユニット筋は単体というよりは一つのユニットとして動かす意識を持ってエクササイズに取り組んで欲しいです!
ピラティスのエクササイズは基本インナーユニット筋を意識するところから始めます!
インナーユニット筋を鍛えることによって、ボディーラインを整えてくれる、痩せ体質になる、首肩こり・背部痛の緩和、姿勢改善、パフォーマンスの向上など様々な効果が期待できます♪
今回ご紹介する二つのエクササイズはピラティスの基盤となる大切なワークです。トライしてもらえたら嬉しいです☺️
【インナーユニット筋それぞれの働き】
インナーユニット筋それぞれの簡単な説明です。
難しいかも知れませんが、なんとなく目を通すことで、エクササイズ中にインナーユニット筋を意識しやすくなるかもしれません✨
横隔膜:肋骨内部にある、ドーム型の呼吸器筋肉です。息を吸った時に下がり(収縮)、吐いた時に上がります(弛緩)。
腹横筋:コアの安定化に関して最も重要な腹筋です。肋骨下部から恥骨まであり、天然のコルセットとも言われています。
内臓の位置を安定させる、腹腔内圧のコントロールをする働きがあり、足を動かす時には足の筋肉よりも先に腹横筋が可動するなど様々な動きに必要不可欠な安定筋と言えます。
多裂筋:体幹の安定に関して非常に重要な背部伸筋です。背骨に沿って細かく連なっており、背骨と背骨を繋ぎ、そして背骨と骨盤を繋ぐ筋肉の一つです。背骨の配列の安定をキープする働きがあります。
骨盤底筋:恥骨(前)と尾骶骨(後ろ)坐骨(右左)を結んだ間にあり、ハンモックのような筋肉群です。
他の筋肉(腹横筋など)と複合的に動くことが多く、コアを支え、安定させる際に非常に大きな役割を果たします。息を吸うと下がり(弛緩)、吐くと引き上がります(収縮)。
女性が妊娠している時に赤ちゃんを支える大切な筋肉でもあり、骨盤内臓器の支持にも関与しています。骨盤底筋を鍛えることで尿漏れ、膣の緩み、排便障害、痔などをを防ぐなど多くの場面で効果が見られます。
骨盤底筋は、妊娠やお産、加齢、デスクワークなどが原因で緩んでしまう恐れがあります。
今からピラティスによる骨盤底筋ケアをして、快適な毎日を送りましょう✨
ピラティス式呼吸法で骨盤底筋を働かせよう!
ピラティス式呼吸法とは、インナーユニット筋を意識的に活性化させる呼吸法です!
いくら動きが正しくても、動きに呼吸が伴っていなければ、エクササイズの効果を100%受けることができません!
このピラティス式呼吸法と動きを連動させて、エクササイズに取り組ましょう✨
- 鼻から息を吸い、口からフーと吐きながら、おへそを内側に引き込み引き上げます。
- 次の吸う息、あまりお腹を膨らませないようにし、肋骨や背中を横に広げます。理想は360度広げてほしいですが、最初は横の広がりが一番感じやすいと思います。肋骨の広がりを感じにくい場合は、左右の肋骨に手を当てて呼吸するとわかりやすいですよ😊
1と2を繰り返し行います。
※息を吐く時に、お腹を引き込んだまま、骨盤底筋を締め引き上げる!肋骨や脇腹はコルセットで締めるように腹部の中心に集めます。息を吸う時に、骨盤底筋を緩める!引き上げるためには、吸う時にちゃんと緩めてあげることが大切です✨
※インナーユニットを鍛えるためには呼吸と共に腹圧をかけることがポイントになります!
骨盤のニュートラルポジションをマスターしよう!
呼吸の次に覚えていただきたのが、骨盤のポジショニングについてです!このポジショニングが理解できていないと、安全かつ効率的にエクササイズの効果を得ることができません!
下記を読みながらでいいので、仰向けになり、骨盤のニュートラルポジション・骨盤の後傾・骨盤の前傾を実際に何度か試してみましょう!3つの骨盤のポジションを体に覚え込ませていきます!
骨盤のニュートラルポジション:骨盤両側の上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)(ASIS)と恥骨結合部(PS)を結んだ三角形が同一水平面上にあることをいいます。ASISは、おへその少し下のラインの両側にひとつずつあり、体の外側に向かって指で探っていくと、触れることのできる硬い突起を指し、恥骨結合は、下腹部の真ん中を手で少し押しながら下に移動していくとぶつかる骨のことです。
(ASISの正式名称はAnterior Superior Iliac Spine/PSの正式名称はSymphysis pubica)
骨盤の後傾(タック):PSがASISより高い位置にある。腰を丸めた状態。
骨盤の前傾(アーチ):ASISがPSより高い位置にある。腰を反った状態。
背骨について
最後に大切になってくるのが、背骨の動きです!
今回ご紹介するエクササイズは骨盤を動かしてから、背骨を一骨ずつ丁寧に動かしていく必要があります。そのために背骨についても少し知ってもらえると実際動かす時にイメージしやすいと思います。
背骨は、椎骨(一つ一つのブロック)が連なって柱のようになっています。
椎骨は上から、頸椎が7個(首)、胸椎が12個(胸)、腰椎が5個(腰)、仙骨(5個)、尾骨(3−5個)と連なっていて、計26−34個もあります。
今回ご紹介するエクササイズはその中でも、胸椎と腰椎を一骨ずつ流動的に動かすことが一つの目的にもなってきます。
それでは、今まで覚えたことを意識してエクササイズに取り組んでいきましょう✨
①Inprint and release(インプリント・アンド・リリース)
⚫︎骨盤のニュートラルポジション・骨盤の後傾を体に覚えさせるエクササイズ
⚫︎Pelvic Curl(次に紹介します)の準備エクササイズ
★腰痛、肥満に効く!
★骨盤底筋を鍛える!
【セットアップ】Inprint and release
※セットアップ時は身体を緊張させすぎないように!一度オフにすることで、動作に集中できます!
1.マットの上に仰向けに寝ます。
2.足を三角に立てます。左右のつま先を揃え、内くるぶし同士をくっつける。
3.両つま先を軽く外に開き、同じだけ両かかとも広げる(足パラレル)。結果、足は坐骨幅(こぶし1個分)、膝も同じだけ開きましょう。
手のひらはマットに向け、腕は体側で足先の方向にスーと伸ばします。
体をリラックスさせ、頭頂と坐骨を引き合います。あごは上げ過ぎず引き過ぎず、声が出しやすい位置にセットしましょう✨(首の後ろに手のひら一枚分くらいが👍)
そして、骨盤はニュートラルポジション=腰は丸まらず、張りすぎず、ゆるやかなカーブがある状態をつくります(腰の後ろに手のひら一枚分がスッと入るくらいが👍)
また、普段パソコン作業が多い方は、肩が前に入りガチガチに固まっているかもしれません💦肩や腕の力を抜き、鎖骨を左右に広げるように意識します。
【動作】Inprint and release
⒈まずは、骨盤のニュートラルを確認しましょう!
下腹部の上に、ASISと恥骨を結ぶ三角形をつくり、同じ水平面上にあるか確認します。仰向けの場合は三角形が床と平行になります。大抵の方が、後傾で恥骨の方が高くなりやすいので、腰に違和感のない方はニュートラルを目指します。
⒉次に、ピラティス式呼吸法をします(※骨盤ニュートラルをキープ←息を吐く時後傾しやすいです)
たっぷり鼻から息を吸い、口から吐き出します。※この時骨盤底筋を締め、引き上げる!
吸う息、肋骨を横に広げ、吐く息、お腹を引き込みます(おへそを引っ込める)!まずは呼吸を整えることに集中しましょう✨
呼吸が整ったら、腕を体側に下ろします。
⒊息を吸い準備(骨盤ニュートラル)
⒋吐いて、恥骨を天井に向け骨盤後傾。(腰とマットの隙間が狭くなる=インプリント)
※最初に息を吐く時、骨盤底筋を締め引き上げ、次にお腹を引き込むことで腹横筋が働く!
下腹部に力を入れ、骨盤後傾することで骨盤底筋と腹横筋が作用します!
腰を丸め、マットに沈めるイメージを持ち、おしりの力は極力抜きましょう。
⒌吸い骨盤ニュートラルに戻します。
⒍骨盤のニュートラルと後傾を繰り返し行います。
呼吸と動作を連動させながら、丁寧に骨盤を動かしていきます。5set目安にトライしてみてください!
【注意点】Inprint and release
動かすのは骨盤のみ!
※肩や腕はリラックスして、骨盤の動き(ニュートラルと後傾)に集中しましょう!
※骨盤後傾からニュートラルに戻る時、骨盤前傾までいかないように注意しましょう!
吐く息と共に腹圧をかける!
ピラティス式呼吸法とエクササイズを連動させることで、コアを意識していきましょう!
骨盤後傾する時、膝が外に開きやすいため要注意!
骨盤後傾する時に働く大臀筋(だいでんきん)は股関節伸筋だけでなく、股関節外旋筋でもあるため膝が外に開きやすいです。そのため、太腿の付け根を少し内回しする働きかけや、足の内側(親指側)でマットを押すとバランスが取りやすいです。
股関節伸筋:股関節を伸ばすための筋肉。
Pelvic Curlでいうと、股関節のしわを伸ばす時に働く筋肉。(骨盤を後傾したままおしりをあげる)
股関節外旋筋:股関節を外側にねじる(回旋)するための筋肉。
Pelvic Curlでいうと、膝が外に開いてしまった時に働く筋肉。(骨盤を後傾したままおしりをあげる)
【アシスト】Inprint and release
①左右の内ももで(膝より)でボールを挟む
→骨盤に意識を向けやすくなる。
→膝が外に広がるのを防ぐ。
②仙骨の下にボールをおく(仙骨:腰椎の最下部と結合している大きな三角形の骨のこと)※腰椎の上にはおかないこと!腰が反ってしまいます!
︎→ボールから落ちないようにするため、体の安定に関わる筋肉に働きかけることができる。
→左右差に気づくことができる。
→骨盤の動き(ニュートラルと後傾)のサポートになる。
②Pelvic Curl(ペルビック・カール)
⚫︎背骨一つ一つを意識しながら、おしり(大臀筋)とハムストリングスを引き締めるエクササイズ
★インナーユニット筋を鍛えることができる
★お腹とお尻を引き締める
★尿もれ解消
★骨盤の歪み矯正
★内蔵の引き上げ効果
【セットアップ】Pelvic Curl
Inprint and releaseと同様。
【動作】Pelvic Curl
Inprint and release後にそのまま続けるとスムーズです。
1.息を吸い、骨盤ニュートラルからスタートです!
吐いて、骨盤を後傾したところで一度ストップ※後傾をキープし続けます!下腹部に力は入れますが、おしりの力は極力抜いてください。
①まず骨盤底筋をスイッチオン!
②次に腹横筋始動!
後傾した時、股関節のしわは伸びていますか?
股関節のしわが伸びた状態をつくれていると、腹筋とハムストリングス(もも裏)が使えていることになります!一度確認しましょう!
2.その場で息を吸い、吐きながら足裏でマットを押し、尾骨から順番に背骨をゆっくり上げていきます。
背骨一骨一骨動かそうと意識すると多裂筋が作用します!
肩から膝が斜め一直線になるところまでおしりを上げてください。(ロールアップ)
※おしりを上げていく途中から、後傾の働きかけが弱くなりやすいのでキープし続けましょう。
恥骨を巻き上げ、骨盤後傾を深めると、更に腹筋を働かせることができます!
①骨盤底筋
②腹横筋
③大臀筋(お尻)を働かせて、ロールアップ!※ハムストリングス(腿裏)の力も使います!お尻をガチガチに固めるのはNG!
3.上で息を吸い鎖骨を左右に広げ、吐きながら胸の後ろから一骨ずつ滑らかにおりていきます。背骨をマットにプリントしていくイメージです。(ロールダウン)
※上に上がってきた時、頭頂と膝を引き合うことで、背骨に長さができ、肩が上がってしまうのを防ぎます。
ロールダウンの時も最後まで腹部を抜かないように気をつけます!
4.腰椎がマットについたら、骨盤をニュートラルに戻します。
動きに慣れてきたら⏬
1.息を吸い、吐きながらロールアップ。
2.上で吸い、吐きながらロールダウン。
を繰り返し行ってください。5〜8set目安です。
【注意点】Pelvic Curl
3つのインナーユニット筋の働かす順番と注意点!
【3つの筋肉】
①骨盤底筋(また)
②腹横筋(お腹)
③大臀筋(お尻)
の順番に働かせるようにしましょう!骨盤底筋は働かせるのが一番難しい筋肉です。吐く息でおしっこを我慢するイメージを持ちながら、締めて引き上げます。一番働きにくい骨盤底筋を最初に意識することがポイントになります✨
吸う息で、骨盤底筋は一度緩めリセットさせてあげましょう。一度緩めてあげることでまた骨盤底筋のスイッチが入れやすくなります♪
③の大臀筋は働かせたいですがガチガチに固めたい訳ではありません!前ももに力が入ってしまっていたらお尻がガチガチのサインです!
①→②→③の順番に働かせることで骨盤の歪みを矯正し、内臓を引き上げることにつながります!
4つ目のインナーユニット筋である多裂筋は、背骨一骨一骨動かそうと意識すると作用します✨
背骨の流動性を感じながらアップダウンを行いましょう!
・背骨一骨一骨(主に胸椎〜腰椎)をなめらかに使えるように意識することが大切です。動かしづらい箇所は特に時間をかけて丁寧に行ってみてください!しかし、丁寧にしようとするあまり、肩に力が入ってしまいやすいです。頭頂と膝を引き合うことで、長い背骨(首も✨)を意識してみてくださいね☺️
・お尻を上げる時は、腰椎(尾骨スタート)→胸椎の順番でガムテープをゆっくりはがしていくイメージです。
・お尻を下ろす時は、胸椎→腰痛の順番でガムテープを丁寧に貼りなおすイメージ、または、一骨一骨をマットにプリントしていくイメージを持ってトライしみてください!
・おしりを上げ下げする時に気をつけてほしいことが、肋骨が開いて、腰が反ってしまうことです!腰痛の原因となってしまうので、恥骨を天井方向に巻き上げ骨盤の後傾をキープすることと、みぞおちをフッと沈めることで体が弓なりになるのを防ぎます。肩〜膝が斜め一直線が理想的です👍
ロールアップする時、注意すべきこと⏬
・ロールアップする時、足裏4点(拇指球、小指球、内かかと、外かかと)でマットをしっかり踏めているか確認しましょう!
拇指球→親指の付け根/小指球→小指の付け根
足だけでなく、手でもマットを押します!肘、腕、肩でマットを押し、鎖骨を左右に気持ちよく広げましょう✨この時、肋骨は開かないように注意します!
・足でマットを押し、膝を前に押し出すことで(膝を足首の上に持っていく)股関節のしわを伸ばしましょう(股関節の伸展)
※ロールダウンする時も、できる限り膝遠くのまま(股関節のしわ広げたまま)降りてくると尚GOOD👍→結果、ハムストリングスが使えます✨ハムストリングスを鍛えるとヒップアップに繋がります♪
・お尻がガチガチになって、前ももが緊張するともも裏(ハムストリング)が使えなくなります。おしりではなく、ハムストリングスを使う意識を持ちましょう!
・膝が外に開きやすいため注意しましょう!拇指球側でもしっかりマットを押し、内転筋を働かせることでスタートポジションをキープします。
普段お仕事などで座りっぱなしの方は、股関節が固まってるかもしれません。ペルビックカールは股関節を伸ばしたり縮めたりする動きも入ります。股関節のしわを気持ちよく伸ばしてみましょう✨すると、ハムストリングスが使えていることを実感できると思います♪
【アシスト】Pelvic Curl
①左右の内ももでボールを挟む
→骨盤に意識を向けやすくなる。
→膝が外に広がるのを防ぐ。
②仙骨の下にボールをおく※腰椎の上にはおかないこと‼腰を痛める原因になります。
︎→ボールから落ちないようにするため、体の安定に関わる筋肉に働きかけることができる。
→左右差に気づくことができる。
→骨盤の動き(ニュートラルと後傾)のサポートになる。
※おしりを上げた時に反り腰だと、ボールにおしりがついてしまいます。ハムストリングスの力で骨盤が高くキープできている上に骨盤の後傾がしっかりできているとボールにおしりがつかないので、目安にもなりますよ😊
Pelvic Curlはベッドの上でもできます!
ピラティスを長年続けてらっしゃる方のお話しですが、「朝起きたら、まずベッドの上でPelvic Curlをやってから起きる!」のだそうです。それほど重要なエクササイズということですね✨
私が初めて教えていただいたピラティスのエクササイズもPelvic Curlでした。とてもシンプルな動きですが、実はかなり奥深く、その日の調子なども知ることができます。是非毎日の習慣に取り入れてみてくださいね!!